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特集 民法がかわる・わかる(3) 民法改正に伴う消滅時効制度の見直しについて

債権法改正により,消滅時効の制度が大きく見直されることとなりました。そこで,今回は消滅時効のポイントを①起算点,②時効期間,③時効障害事由の3つに分けて説明したいと思います。

 

(1)主観的起算点の導入

現行民法では,債権は,「権利を行使することができる時から」(権利の行使に法律上の障害が存在しなくなった時から)起算して10年間行使しないときには,時効によって消滅するものと規定されています。

ところが,債権法改正では,債権の消滅時効につき,いわゆる二重期間規定を導入しました。すなわち,従来の10年間の客観的な消滅時効に加えて,「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」にも時効消滅することが新たに規定されました。

これまでは,債権者が権利行使できることにつき知っているか否かを問わず,一律に10年間の消滅時効期間が適用されましたが,新民法のもとでは,債権者の主観的な事情に大きく左右されることになりますので注意が必要です。

 

(2)短期消滅時効の廃止

現行民法では,医師による診療報酬債権は3年間(民法170条1号),旅館の宿泊代金債権は1年間(民法174条4号)など,それぞれの性質を鑑みて職業別の短期消滅時効制度を規定しています。

しかし,新民法では,職業別の短期消滅時効制度を一律廃止し,債権の消滅時効の原則的な時効期間を統一しました。そのため,これまでは短期消滅時効の規定により,時職業別に消滅時効が完成するか判断したものについても,今後は(1)で述べた規律に従って処理されることになります。

 

(3)時効障害事由

現行民法では,時効障害事由(時効の完成を妨げる事由)として,「中断」と「停止」という文言が用いられています。しかし,新民法では,「中断」は「更新」に,「停止」は「完成猶予」にそれぞれ用語が改められます。

また,新民法は,「協議による時効の完成猶予」として,権利についての協議を行う旨の合意が書面又は電磁的記録によりなされた場合に,その合意により時効の完成が猶予されるという制度が新設されました。

この記事を書いた人

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東京弁護士会所属
大塚和樹 Kazuki Otsuka
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