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特集 民法がかわる・わかる(4) 定型約款に関する規定の新設について

債権法改正により、「定型約款(いわゆる「定款」と呼ばれるもの)」に関する規定が新設されることとなりました。今回は、その定義や機能、今後の注意点などについて説明したいと思います。

 

(1)定型約款の定義

契約書の裏面に記載された条項群のように、多数の相手方との契約に用いられるためにあらかじめ定式化された契約条項の一群を「約款」と呼びますが、現行民法では約款に関する規律は一切定められていませんでした。

新民法では、新たに「定型約款」という規定を設けました。定型約款とは、「定型取引」において契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいうものと定められ、また、ここでいう「定型取引」とは、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることが双方にとって合理的なものをいうと解されます。

 

(2)みなし合意

新民法では、定型約款によって契約内容が補充されるための要件、つまり、定型約款を準備した者の相手方が定型約款に含まれる個別条項に合意したものとみなされる(みなし合意)ための要件を設けています。

その要件は、1:定型取引を行うことの合意をした者が、定型約款を契約の内容とすることに合意をしたこと、又は2:定型約款を契約内容に組み入れる旨の合意がない場合であっても、定型約款を準備した者が「あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示」していた場合のいずれかになります。

もっとも、その例外として、定型約款の個別条項のうち、1:相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、2:その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして民法第1条2項に規定する基本原則(信義誠実の原則)に反して、3:相手方の利益を一方的に害すると認められるもの、については合意をしなかったものとみなすという規定が置かれています。これにより、内容が不当な条項や、当事者にとって不意打ち的な条項などについても、みなし合意から排除する余地が残ることになります。

 

(3)定型約款の変更

新民法によれば、1:定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合するときや、2:契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要生、変更後の内容の相当性、定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無およびその他の変更に係る事情に照らして合理的なあるときには、定型約款準備者は、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなして、個別に相手方と合意をすることなく契約の変更をすることができます。

ただし、定型約款の変更が有効になされるためには、原則として、その効力発生時期を定め、かつ、1:定型約款を変更する旨、2:変更後の定型約款の内容、及び3:その効力発生時期をインターネットの利用その他の適切な方法により周知しなければなりません。

 

(4)経過措置

新民法では、「(定型約款に関する)規定は、施工日前に締結された定型取引に係る契約についても、適用する。ただし、旧法の規定によって生じた効力を妨げない。」と定めています。つまり、上記で説明した定型約款に関する規律は、新民法の施行日前に締結された契約についても適用されることとなります。

そのため、今から定型約款を用いた契約を締結しようとする方は、将来的にみなし合意や変更に関する規定が適用されることを念頭に、各条項を設けるよう留意する必要があると言えます。

この記事を書いた人

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東京弁護士会所属
大塚和樹 Kazuki Otsuka
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