ご相談事例Case
取締役の違法行為の差止請求
Q:株主が、取締役の行為を、事前にやめさせることは可能ですか?
A:いわゆる株主代表訴訟は、取締役などの役員が、会社に対する職務を怠り、これによって会社に損害が発生した場合に、株主に、その損害賠償請求を提訴しうる権限を与えるものです。本来は、会社が、職務を怠った取締役に対して損害賠償請求することが原則ですが、取締役同士のなれあいによって十分な責任追及がされないおそれがあるため、株主にも責任追及の権利が与えられています。
これは、事後的な救済ですが、株主には、事前に取締役の行為を差し止める権利も与えられています。それが、取締役の違法行為差止請求権です(会社法360条)。これは、取締役の行為が、法令もしくは定款に違反し、または違反行為をするおそれがある場合で、株主に「著しい損害」(監査役設置会社等一部の会社では「回復することができない損害」)が生じるおそれがあるときに、請求することができます。
しかし、取締役は、経営のプロとして、専門的判断を委ねられた立場にあります。したがって、そのようなプロの判断が尊重される必要もあります。
そこで、経営判断が問題になる場合は、その判断の基礎となった情報の収集分析に不合理な点はないか、判断の過程および内容に不合理な点がないかという観点から検討がされ、これらが著しく不合理といえない限り、差止めは認められないという仕組みになっています。
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