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遺言・相続問題

相続人から廃除されるのは、どのような場合ですか

相続人が、被相続人に虐待などをしたときは、相続権を失うことがあると聞きました。具体的にどのような行為であれば、相続権は失われるのでしょうか。

民法では、推定相続人が、①被相続人に対して虐待をしたとき、②重大な侮辱を加えたとき、③推定相続人自身にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その者を相続人から廃除するよう家庭裁判所に請求できるとされています。これを「廃除」と言います。
しかし、どのような行為が、「重大な侮辱」や「著しい非行」にあたるかは、明確ではありません。これまでの裁判例では、「家族としての共同生活関係が破壊され、その修復がもはや困難と言えるかどうか」がポイントになっています。 具体的に、いくつかのポイントを挙げてみます。

1 単に主観的に好ましくないというだけではなく、社会的にも家族関係が崩壊したといえること
「長女が、かつて少年院に収容されたことのある男性と結婚すること」は、親にとっては好ましくないかもしれませんが、いまだ社会的には侮辱とも著しい非行ともみなされないとされました(福岡高裁宮崎支部昭和40年6月4日判決)。

2 被相続人の側に落ち度がないこと
家庭内で紛争があり、父親に暴言を吐いたりしたとしても、原因のいったんは父親にもあるという場合、その責任を相続人である子にだけ負わせるのは不当であるとして、廃除の申立ては却下されました(東京高裁平成8年9月2日決定)。

3 一時的なものではないこと
酔っぱらって、父親の自宅に上がり込み、障子などを損壊した行為でも、鬱積された感情が一時的に暴発したにすぎず、共同生活を不可能にするとまでは言えないとして、申立は却下されました(名古屋高裁昭和46年5月25日決定)。

これらは一例ですが、廃除が認められるには高いハードルがあることがお分かり頂けると思います。

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