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ご相談事例Case

離婚問題

嫡出(ちゃくしゅつ)の推定とは何ですか

Q.私と妻とは、離婚届は出していないものの、3年にわたり別居している夫婦です。その間、性生活はなかったにもかかわらず、最近になって妻が子どもを妊娠しました。明らかに私の子ではないのですが、私の子として扱われるのですか。
 
A.民法は、妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定すると定めています(772条1項)。
このことの意味は、正式に離婚をするまでの間、妻が子どもを妊娠したときは、その子の父親は婚姻関係にある夫であると「推定」されるということです。

これでは、夫は、明らかに自分の子どもではないのに、法律によって、その子の父親にされてしまいかねません。そこで、夫としては、自分が父親ではないことを主張して、裁判をする必要があります(嫡出否認の訴えと言います。)。しかも、この訴えは、夫が「子の出生を知った時から」1年以内に提起しなければならないという期間制限があります。

しかし、夫との間に性生活がなかったことが客観的に明らかな場合でも、裁判をしてまで自分の子ではないことを証明しなければならないのでしょうか。たとえば、夫が長期間海外に居住していたり、刑務所に収監されていたなどという場合も、夫の子であると推定されるのでしょうか。

裁判例は、このように性生活がなかったことが客観的に明らかな場合には、夫の子であるという推定がそもそも及ばないとしています。その場合は、もはや夫の子であるとは扱われないので、夫が嫡出否認の訴えを提起する必要はありません。ただし、戸籍には夫の子として記載されてしまいます。その場合は、親子関係の不存在確認を裁判所にしなければなりません。

では、ご質問のような「長期の別居」は、性生活がなかったことが客観的に明らかな場合に当たるでしょうか。別居しているから性生活がないとは直ちに言えませんので、この場合は、性生活がなかったことを、別居中の当事者の生活状況などから、具体的に明らかにしていく必要があると考えられます。

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