ご相談事例Case
財産分与と詐害行為取消権
Q:私は、夫と離婚したいと考えていますが、夫には多額の借金があります。夫の財産といえば、夫名義のマンションがあるだけです。私はこれを財産分与として受け取ることができるのでしょうか?
A:財産分与は、夫婦間の合意で自由に合意できるのが原則です。
しかし、財産を分与する側に債権者(たとえば、お金を貸している人)がいる場合は、どうでしょうか。夫の債権者からすれば、夫の唯一の財産であるマンションが妻に分与されてしまい、夫からの債権の回収ができなくなれば困ってしまいます。
そこで、民法には、債権者取消権という制度があり(民法424条1項)、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為を、債権者が取り消すことができる制度があります。
離婚に伴う財産分与も、この取消の対象となる可能性があります。
もっとも、財産分与が取り消される対象となるのは、分与された財産の額が、財産分与制度の趣旨に反して不相当に過大であると評価されたときに限られます。
ご質問のように、夫に多額の借金がある場合、その唯一のマンションを妻に財産分与した場合、それが取り消される可能性がありますので、弁護士にご相談頂くことをお勧めいたします。
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