%e7%9b%b8%e7%b6%9a%e4%ba%ba%e4%bb%a5%e5%a4%96%e3%81%ae%e8%80%85%e3%81%b8%e3%81%ae%e8%b4%88%e4%b8%8e%e3%81%af%e7%89%b9%e5%88%a5%e5%8f%97%e7%9b%8a%e3%81%ab%e3%81%aa%e3%82%8a%e3%81%be%e3%81%99%e3%81%8b相続人以外の者への贈与は特別受益になりますか?

Q:亡父は兄の子どもに1000万円の贈与をしていました。この1000万円の贈与は兄の特別受益になりませんか?   A:相続人以外の第三者に対する贈与は、原則として特別受益とはなりません。なぜなら、第三者が贈与を受けたからといって、相続人のなかで特別の利益を受けた人はいないからです。これは、第三者が相続人の子どもであってもあてはまるとされています。 しかし、これでは不公平に感じられるケースもあるのではないでしょうか。ご相談のケースなどは、実際は、兄自身が利益を得ているようにもみえます。 そこで、第三者に対する贈与が実質的には相続人に対する贈与と同じだといえる場合には、これを特別受益として考えることができるとされています。 具体的には、どのような場合に特別受益が認められているのでしょうか。次の2つの判例が参考になります。 ・相続人の子どもに学費の援助をしたケース 裁判所は、学費は本来相続人が払うべきものであり、子どもに対する学費の援助は、実質的には相続人に対する贈与とかわらないとして、特別受益を認めました(神戸家裁尼崎支部昭和47年12月28日審判)。 ポイントは、学費は本来親が支払うべきものだという点です。ですので、子どもが贈与を受けると、その分親の負担が減ったといえるので、親自身の利益として考えることができるのです。 ・相続人(娘)の夫に対して不動産を贈与したケース 裁判所は、贈与された経緯から、贈与の対象は実質的には相続人(娘)であって、形式的に夫名義にしたのは夫を立てたほうが良いとの配慮からであるという事情を認め、このような事情がある場合には、特別受益が認められるとしました(福島家裁白河支部昭和55年5月24日審判)。 ご相談のケースでも、例えば1000万円の贈与が0才の幼児に対してなされたという場合には、実質的には親に対する贈与であるとして、特別受益が認められる可能性も考えられます。 家庭裁判所への申述によって行います。 相続人が相続するのは財産ばかりではありません。故人に借金があれば、これも相続の対象になります。財産はないのに借金ばかりでは相続なんてしたくありません。 そんな場合には、相続放棄をすれば良いのです。相続放棄とは、財産も負債も含めて、一切の遺産を受け取らないという意思の表明です。しかし、相続放棄をするには、注意が必要です。   1 相続放棄には期限があります。 相続放棄は、相続開始を知った時から3ヶ月という期間制限があります。その期間内に放棄の手続をしないと、原則として、相続放棄は認められません。そこで、この期間を過ぎてしまわないよう注意が必要です。 ただし、期間を過ぎてしまった場合でも、諦めずに専門家に相談しましょう。3か月を過ぎてから初めて借金があることを知ったという場合など、放棄ができる場合もあります。   2 相続放棄には方式があります。 他の相続人に「私は放棄する。」と言ったり、紙に書いたりしただけでは相続放棄をしたことにはなりません。自分が何ももらわない内容の遺産分割協議書にサインをして、それで放棄したと勘違いしている方が多いので注意が必要です。 相続放棄は、家庭裁判所に対する申述という手続が必要であり、それ以外の方法では放棄とは認められません。   3 相続を承認したら放棄はできません 相続を承認するとは、故人の預金を払い戻したり、不動産を処分することなどです。これらは、法定単純承認といって、法律によって相続を承認したことにされてしまい、その後は相続放棄をすることはできません。 安易に遺産を払い戻したり、他人に譲渡したりしないよう、注意が必要です。   したがって、相続が発生したら、事前に債務を含めた遺産の全体像を調査することが大切です。 調査に時間がかかる場合は、あらかじめ裁判所に、相続放棄するかどうか決めなければならない期間を伸ばしてもらうことも可能です。専門家までご相談ください。 Q:亡くなった父には遺産として自宅と住宅ローンがあります。相続人である私と姉との間では、自宅も住宅ローンも姉が相続することで約束できています。そこで、姉が頼んだ司法書士から自宅の名義変更をするために「相続分の放棄」の書類を書くよう言われました。これを書けば相続放棄をしたことになるのでしょうか。   A:いいえ。なりません。 相続放棄とは遺産の相続をすべて放棄することをいいます。 相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったことになります。そのため、財産も、負債も、承継することはありません。相続放棄は、相続を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に対して申述する方法で行います。 これと混同されやすいのが「相続分の放棄」です。 相続分の放棄とは、相続の効果を認めながら、積極財産を放棄して他の相続人に取得させることを言います。相続放棄では、そもそも相続をしませんが、相続分の放棄は「相続はするけど、財産はいらないよ。」というもので、相続放棄とは全く違うのです。 相続分の放棄は遺産分割の方法の一つとして用いられます。ご質問の事例でいえば、あなたが司法書士に対して相続分放棄の書類を提出することによって、あなたの姉は遺産分割をした場合と同じように、自宅を自分名義に登記することができます。 しかし、あなた自身は、相続をしているわけですから、お父さんの住宅ローンの2分の1を相続することになってしまいます。 お姉さんがローンを払ってくれれば良いのですが、もし払えない場合には、債権者はあなたに対してローンの支払いを請求できることになるのです。あなたとしては、「自宅もローンも姉が相続したはずなのに話しが違う。」ということになってしまいます。 このように相続放棄と相続分の放棄とは全く効果が違うにもかかわらず、一般には、その違いが分かりにくいためトラブルの原因となります。あなたが債務を免れたいのであれば、「相続分の放棄」ではなく、必ず「相続放棄」をしなければなりません。 Q:亡くなった父には自宅不動産がありますが、一方で借金も3000万円あります。不動産を売れば借金は全額返済出来るかもしれませんが、現時点ではいくらで売れるのか分かりません。不動産の価格が思ったより低かった場合には、相続によって負債を抱えることになってしまうのではないかと不安です。どうすれば良いでしょうか。 A:限定承認をする方法が考えられます。 相続が開始すると、まず財産や負債の額を調査しますが、調査によっても財産のすべてが判明するとは限りません。思わぬ借金があとから出てきたというケースもあります。その場合、相続を単純に承認してしまうと、借金もすべて相続してしまいますので、あとから借金のほうが多かったとなれば、大変なことになってしまいます。 このようなデメリットを避けるための方法が、「限定承認」という制度を使うことです。限定承認とは、財産の範囲内でのみ債務を支払えばよいとする相続の方法です。例えば、不動産と3000万円の債務があるという場合、限定承認をすれば、不動産の金額の範囲内でのみ債務も支払えばよいことになります。ですので、もし不動産が2500万円でしか売却できなかったとしても、残り500万円の債務については返済する必要がありません。 このように、限定承認は相続に伴うリスクを回避するために、とても役に立つ制度なのです。ある程度の財産がある場合には、借金があるかもしれないとすぐに相続放棄をしてしまう前に、いちど限定承認を利用できないか検討してみてもよいかもしれません。 ただし、限定承認には、受け取った財産につき、みなし譲渡所得が課税されるというデメリットもあります。 このようなメリットとデメリットを比較して、限定承認を利用するかを検討することになります。   最終更新日:2024年4月12日 Q:遺産分割をしたいのですが、どのようにしたらよいでしょうか。   A:遺産分割の方法には、以下の方法があります。   ・現物分割(遺産をあるがまま分割する) 例えば、遺産として1000万円の現金があり、相続人が妻と子供2人の場合 妻が500万円、子供がそれぞれ250万円を相続するという分割方法です。   ・代償分割(特定の相続人が相続分を超える遺産の現物を取得し、他の相続人には超過分に相当する金銭(代償金)を支払う) 例えば、遺産として2000万円の価値がある不動産があり、相続人が妻と子供2人の場合 妻が不動産を全て相続し、代わりにそれぞれの子供に500万円支払うという分割方法です。   ・換価分割(相続人全員で遺産を換価し、その代金を分ける) 例えば、遺産として車があり、相続人が妻と子供2人の場合 相続人全員で車を売却し、売却代金が100万円であれば、妻が50万円、子供はそれぞれ25万円を取得するという分割方法です。   ・共有分割(遺産の一部あるいは全部を相続人が共同で所有する) 例えば、遺産として建物があり、相続人が妻と子ども2人の場合   妻が建物の持分1/2、子どもはそれぞれ持分1/4の割合で、建物を共有で取得するという分割方法です。   (最終更新日:2025年3月10日) 相続人同士の話し合いだけでは遺産の分け方を決めるのが難しいという場合には、家庭裁判所に間に入ってもらって、遺産の分け方についての話し合いを進める手続を利用することができます。この手続きを遺産分割調停と言います。 これは、あくまでも裁判所が話し合いの場を提供するという制度です。ですから、参加しないからといって、勝手に遺産の分け方を決められてしまう訳ではありません。 しかし、遺産分割調停が成立しない場合には、裁判所が強制的に遺産の分け方を決める手続(遺産分割審判)に進むことがあります。その場合には、参加しないと勝手に遺産の分け方を決められてしまいます。 ですから、可能であれば、初めから調停に参加して自分の意見を述べる方がいいでしょう。     最終更新日 2025年5月16日 Q:遺産分割調停を申し立てたいのですが、相続人が遠方に住んでいて、裁判所まで来ることができそうにありません。その場合、調停はできないのですか? A:電話会議システムの利用が可能となりました。 調停や審判のたびに遠方の裁判所に行かなければならないとすれば時間的にも経済的にも非常な負担となってしまいます。 この点、民事裁判については従前から電話会議システムの利用が可能となっておりますが、家事手続についてはこれが認められておりませんでした。家事事件手続法の成立により一定の家事事件については電話会議システムの利用が認められました。しかも、当事者が誰も裁判所に出頭せず、電話会議のみで手続進行することが出来るので、利用者にとっては非常に便利です。 もっとも、電話会議システムは民事訴訟でも原則として代理人弁護士がいない場合には利用されておらず、代理人のいない場合にどの程度出来るのかなどは今後の運用に委ねられています。また、離婚や離縁など利用できない手続もありますので注意が必要です。 Q.先日、私の母のいとこが亡くなりました。その方には、不動産や預金などの遺産がありますが、相続人がいません。葬儀費用は私が立て替えましたが、これを遺産からいただくことは出来ませんか? A.相続人がいない場合、その方の財産は、特別縁故者がいれば、その方に分与され、特別縁故者もない場合には、国に帰属することになります。しかし、葬儀費用など故人のために支出する費用は、遺産から支払って貰うことも可能です。そのためには、まず家庭裁判所に対して相続財産管理人選任申立を行います。 すると、家庭裁判所は、被相続人の遺産を処理することができる人(相続財産管理人)を選任しますので、以後は相続財産管理人により遺産が管理されます。 相続財産管理人は、裁判所の許可を受けて、葬儀費等の支払をするのが一般的です。 なお、この申立は誰にでも出来るわけではなく、被相続人の利害関係人(被相続人に対する債権をもっている、遺産を預かっている等)もしくは検察官によるものに限られています。 Q:手続きの流れや必要な書類について教えてください。 A:まず、遺言者は遺言の具体的内容(資産の種類、相続分の指定など)を決めます。遺産のうち、預貯金や有価証券、貴金属や美術品については、おおよその金額を公証人に伝える必要があります。また、不動産があるときには登記簿謄本と固定資産評価証明書(または納税通知書)を提出します。 ほかに、遺言者が準備する必要がある書類は、次のようなものです。 ・遺言者の印鑑証明書(3ヶ月以内のもの) ・遺言者と相続人の続柄がわかる戸籍謄本 ・相続権のない人に遺贈する場合は、その人の住民票 ・遺言執行者の住民票 ※遺言執行者(遺言を実行してくれる人)の指定は必須ではありませんが、遺言で決めておくと便利です。なお、執行者には相続人や受遺者・証人でもなれます。 なお、遺言公正証書作成手数料は、遺産額と公正証書の枚数(文字数)によって計算されます。また、遺言書作成時には証人2名が立ち会う必要があります。 未成年者・相続人・受遺者及びその配偶者・直系血族以外の人であれば誰でも証人になることが出来ますが、証人を頼める人がいない場合は、公証役場に証人の手配をお願いすることも可能です。その場合は、証人へ支払う手数料が別途発生します。さらに、公証役場に赴くことが難しいケースの場合は、遺言者の自宅や入院先での遺言書作成も可能ですが、その場合は出張費や交通費が加算されます。 Q:亡くなった母のタンスから、手書きの遺言書(自筆証書遺言)が発見されました。 まず、どうしたらよいでしょうか。 A:自筆証書遺言の場合は、まず、遺言書の検認手続きをする必要があります。 遺言書の検認手続きとは、遺言書の存在と外形を家庭裁判所で確認する手続きです。 遺言書を発見した方は、家庭裁判所に検認手続きの申し立てをする必要があります。ただし、この手続きは、遺言書を書き換えられることを防ぐための手続きであって、遺言の内容や効力の有無を判定するものではありません。 ですから、検認手続きがされたからと言って、遺言書が有効であることが確認された訳ではありません。