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遺言・相続問題

学費は特別受益にあたりますか?

Q:兄弟三人のうち長男だけが父親から学費の援助を受けて大学を卒業しました。 長男が受けた学費の援助は相続の際に考慮されませんか?

 

A:相続人の一人だけが、被相続人の生前に特別の利益を受けている場合、これを考慮しないと不公平になるときは、その分が遺産の先払いとみなされ、相続分が少なくなることがあります。これが、特別受益の制度です。

一般的にいえば、学費が特別受益となるかは、学費の金額、高等教育か否か、親の収入、社会的地位などによって異なります。
高校までの学費については、親の扶養義務の範囲であり、特別受益が認められた事例はほとんどありません。
大学以上の高等教育についても、両親が裕福であれば扶養義務の範囲内と考えられる場合などは、特別受益が認められないケースもあります。

例えば、他の兄弟が家業を手伝って親の手助けをしている一方で、一人だけが家業の手伝いをせず、4年生の私立大学に通わせてもらったというケースでは、特別受益が認められています(京都家裁平成2年5月1日審判)。

しかし、同じように、兄弟のうち一人だけが大学(医学部)を卒業させてもらったケースでも、親が開業医であって、親の資産、社会的地位を基準にすれば、その程度の高等教育をするのが普通だと認められることから、特別受益は否定されています(京都地裁平成10年9月11日判決)。

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