ご相談事例Case
取締役の任務懈怠責任
Q:取締役が任務を怠ったとして、損害賠償責任を負うのは、どのような場合ですか?
A:取締役が任務を怠ったため、会社に損害が発生した場合、その損害賠償責任が発生します。これは、会社法423条1項に定められています。
ただ、条文には「任務を怠ったとき」としか書かれていません。そこで、裁判例により、次のようなケースが任務を怠ったときにあたると解釈されています。
1 法令違反:会社が法令違反を犯したときは、任務を怠ったとされます。「法令」には、会社を名宛人とする、会社が業務を行うに際して遵守しなければならないすべての法令を含みます。
2 定款違反:定款違反も任務を怠った場合にあたります。
3 善管注意義務、忠実義務違反:取締役は、会社に対して注意義務、忠実義務を負っていますので、それに違反すると任務を怠ったものとされます。ただし、取締役はリスクのある経営判断を行わなければなりませんので、意思決定の過程と内容に著しい不合理がなければ責任を負わないと判断されることもあります(経営判断の原則)。
4 監視義務違反:取締役は、代表取締役をはじめとする業務執行者の業務執行全般を監視する義務を負っています。そこで、適切な監視や、違法行為が予見されるときにその抑止を怠ると、監視義務に違反したとされます。
5 監督義務違反:取締役は従業員等に対する監督義務も負っています。そこで、この監督義務に違反すると任務を怠ったとされます
これらの義務違反は、さらに裁判例により詳細な事例が扱われていますので、義務違反にあたるかどうかご心配な場合は、弁護士にご相談ください。
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