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その他企業法務

会社と取締役の利益相反取引

Q:私はX社の代表取締役です。私個人がY銀行から借りた1000万円の借金について、私がX社を代表して、X社に債務引受をさせようと考えていますが、どのような手続が必要になりますか?

 

A:取締役個人の債務について、当該取締役が会社を代表して債務引受をする行為は、取締役個人と会社との利害関係が衝突しますので、利益相反取引にあたります。そうすると、取締役が会社を代表して債務引受をするにあたり、株主総会または取締役会(取締役会設置会社の場合)において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません(会社法356条1項3号)。

 

もし、利益相反取引であるにもかかわらず、株主総会等の承認を得ていなければ、それ自体が法令違反であり、取締役の任務懈怠となります。

また、株主総会等の承認を得た場合でも、それだけで任務懈怠にはならないのではなく、利益相反取引をすることに善管注意義務違反があれば、任務懈怠となります。

そして、任務懈怠により会社に損害が発生したときには、損害賠償責任が発生することになるのです(会社法423条1項)。

 

そのため、事前の手続としては株主総会または取締役会の承認を受けることが必要ですが、それに加え、当該債務引受をすることが、取締役としての善管注意義務・忠実義務に違反しないかについても検討しておく必要があると思われます。

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