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ご相談事例Case

どのような場合に、内部統制システムを構築すべきか

Q:当社では、5年ほど前に経理部長が、取引先の注文書を偽造して架空の売上げを計上していたことが発覚しました。その際は懲戒処分で済ませたのですが、今後も同じような問題が起こるかもしれません。取締役として、内部統制システム(法令遵守体制、リスク管理体制)を整備すべきでしょうか。

 

A:内部統制システムとは、株式会社の業務の適正を確保するために必要な体制(会社法362条4項6号)などと定義されていますが、一般的には、会社の役員だけでなく従業員も含めて、不適切な業務が行われないよう監視・統制する仕組みのことをいいます。

万が一、従業員の不祥事が生じれば、それは会社の株価を大きく下落させて株主に損害を与えたり、会社の信用を傷つけ会社債権者の利益を害したりする可能性があるため、これを予防することが目的です。

 

内部統制システムを構築することが義務となるのは、大会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社のいずれかに該当する会社のみです。しかし、内部統制システム構築義務が課されていないとしても、取締役には会社の業務全般について監視義務がありますので、これを怠ったと認められる場合は法的責任を負います。そこで、中小企業でも、コンプライアンス体制やリスク管理体制の構築が問題となりえます。

 

そこで、どのような場合に、内部統制システムを構築すべきかという点が問題となってきます。

この点、最高裁は、①通常想定される不正行為を防止しうる程度の管理体制を構築しており、また②取締役が不正行為の発生を予見すべき特段の事情も認められない場合には内部統制システム構築義務違反はないとしており、通常容易に想定し難い方法による不正行為までも回避できるというレベルまでは求めていません(最判平成21年7月9日)。

そうすると、通常想定される不正行為がどのようなものかが問題になりますが、これは、①多くの会社に共通して一般的に想定されるものと、②当該会社の実情に応じて個別的に想定されるものとに分けることができます。

一般的に想定されるものについては、様々な書籍や業界のルールで紹介・検討されています(法令遵守のための社内規程、文書管理など)。

個別的に想定されるものについては、当該会社に、それまで類似の不正行為が発生したことがあるか、会計管理の方法などから不正行為が容易におこなわれる「すき」がなかったかなど、当該会社の実情に応じて様々です。

そして、取締役には、不正行為の発生を予見できたか、予見すべきであったかが問われていますので、少しでも不安に感じた場合は、早めの相談をご検討下さい。

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