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完成された家屋に瑕疵がある場合、報酬支払を拒否できるか

Q:私は、建築業者に一戸建て家屋の建築工事を発注し、完成した家屋の引き渡しを受けました。しかし、家屋内のドアや床に不具合が発見されました。先日、業者から代金の請求を受けたのですが、代金を支払ってしまった後、きちんと不具合を修理してもらえるのか不安です。すぐに支払わないといけないのでしょうか。

 

A:完成された家屋に瑕疵(欠陥)がある場合、注文主は、その瑕疵の修補を求めることができるほか、これと一緒に、あるいはこれに代えて、損害賠償を請求することもできます。
そして、注文主が、請負人に、修補を請求した場合には、修補がなされるまで、修補に代わる損害賠償を請求した場合には、その賠償金の支払いを受けるまで、請負代金全額について支払いを拒否することが許されています。もともと、契約の目的とされたのは、瑕疵のない家屋を建築することですので、瑕疵が残っている時点では、契約の目的が達成されていないからです。

しかし、瑕疵が軽微である場合は、代金を支払わなければならないことがあります。具体的には、瑕疵の内容が契約目的等に照らして重要ではなく、修補に過分の費用を要するときは、瑕疵の程度や当事者の交渉態度等からして、代金全額の支払いを拒むことが信義則に反して許されない場合です。
この場合は、修補が終わっていない段階でも、支払期日が到来すれば、代金を支払わなければなりません。

ただし、代金の支払いを拒否できない場合でも、注文主は、修補に代わる損害賠償金(主に修補費用)と請負代金とを対当額で相殺することができます。したがって、注文者は、代金について、相殺後の残額だけを支払えば足ります。また、相殺がなされるまでは、代金の未払について遅延損害金が発生することもありません。

以上のように、家屋の注文主は、完成した家屋に不具合があった場合、その代金の支払いと引換えに不具合を修理してもらうことが可能であり、又は、修理費用分について代金の減額ができますので、家屋の引渡しを受ける段階で不具合がないか、きちんと検査することが重要です。

なお、現行の民法では、以上のように、建物に瑕疵があった場合、注文主は、修補の請求と、修補に代わる損害賠償の請求とを選択することができます。しかし、改正民法(平成29年6月2日公布、3年以内に施行)では、瑕疵があった場合、注文主は、請負人に対して、まず瑕疵の修補を請求しなければならないこととなり、修補が不可能、あるいは修補を拒絶された場合に、修補に代わる損害賠償請求ができることとなりました。

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