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遺言・相続問題

20年以上前にされた生前贈与も遺留分減殺の対象になりますか?

Q:亡くなった父には、遺産はありませんでした。しかし、父は、兄に対して、亡くなる20年以上も前に自宅の不動産を生前贈与していました。この贈与も遺留分減殺の対象となるのでしょうか?

 

A:相続開始の日より1年以上前になされた生前贈与については、「遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与した場合」に限って、遺留分の計算に入れることができるとされています(民法1030条)。すると、そのような事情がなければ、20年も前の生前贈与は遺留分減殺の対象とはならないようにも思われます。

しかし、「特別受益にあたる生前贈与」については扱いが異なります。なぜなら、遺留分の算定については、特別受益の規定が準用されることになっているからです(民法1044条、民法903条)。
裁判例も、特段の事情のない限り、特別受益にあたる生前贈与は、相続開始の日より1年以上前のものであっても、遺留分減殺の対象になるとしています(最判平成10年3月24日)。

設例の場合、亡父の兄に対する生前贈与は特別受益にあたりそうです。もし特別受益にあたると判断されれば、20年も前の生前贈与ではありますが、遺留分減殺の対象となり、目的の不動産について遺留分減殺を主張することができることになります。

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